鼓動


人類は少し例外な部分があるのでこの統計からは外すが、
哺乳類の寿命は、ほぼ体重の4分の1乗に比例するらしい。


体重が重い(体が大きい)動物ほど長生きだということだ。
例えば、ハツカネズミの寿命は2〜3年だが、ゾウの寿命は
70年以上だそうだ。


これは、心臓の寿命が決まっているかららしい。


「ゾウの時間・ネズミの時間」という本を書いた、
東京工学大学理学部生物学教室教授の本川達雄氏によると、
「心周期」という心臓の拍動の速さを比べると、ヒトはおよそ
1分間に60回、ネズミは600〜700回、ゾウの場合は30回程度
だそうだ。
この「心周期」を寿命で割ると、どんな生き物(哺乳類)
でも心臓がほぼ15億回拍動すると死んでしまうという
結果がでる。
それがその種の絶対的な寿命なのだ。


もう一つ面白いことを仰っておられる。


体の大きさが違う動物は、心周期の速度が違うだけではなく、
筋肉の動きや、呼吸・消化のスピードも違うらしい。
つまり、その動物によって流れている「時間」が違うのでは
ないだろうか、という話しだ。


上に記した寿命の計算式に当てはめると、体重が2倍になると
寿命は1.2倍になる。
ネズミとゾウの体重はおよそ30gと3,000kg、約10万倍だ。
ゾウ=ネズミ×18が寿命の計算結果である。


要するに、単純に寿命が18倍長いということではなく、流れている
「時間」そのものが18倍なのではないかということだ。


ネズミからゾウを見ると、全く動かない「壁」のようなものであり、
ゾウからネズミを見ると、存在しているのかどうかすら分からない
スピードで消え去ってしまうのだ。


ヒトは時計を持ち、時間を計るようになった。
おのずとその「時間」の中に森羅万象を当てはめて考えがちだ。
そして、医療技術の進歩により、ヒトの寿命は伸びている。


ヒトの存在意義は生まれてから死ぬまでの「間」にある。
だから「人間」なのだ。
その、限られた時間をどう使うかは自分次第だ。


ちなみに、上記の心周期の計算式で考えると、ヒトの寿命は
26.3年だそうだ。