牛丼と豚丼

遅い昼食を摂るために、らんぷ亭に入った。


久しぶりに「豚丼」ではなく「牛丼」の文字を見て「並」を注文した。


牛丼の味ってこんなもんだったか?
豚丼に比べると、とても筋張っていてカスカスした食感だと思った。


人間の味覚って単純なもんだ。
BSE問題で「牛丼」が無くなったとき、牛の代わりに豚なんて旨い
はずがない、と思ったものだ。
しかし、豚丼に慣れてしまうと逆に牛丼の方が妙な味のような気が
してしまう。
上に載っていた肉はきれいに平らげ、ご飯は1/3ほど残した。


隣のテーブルでは東洋系の外国人旅行者と思われるカップルが二人
そろってうどんを食べていた。
どこの国の人か知りたくて、聞き耳を立てていたが二人は聞き取れない
ほどの小声で短い会話をしただけで、あとは黙々とうどんをすすっていた。


僕は食べたくもない紅生姜をかじりながら、しばらく待っていたが
特に会話をする様子も無いのであきらめて店を出た。


結局、彼らがどこの国から来たのか分からずじまいだ。
僕はピリピリする口内を鎮めるために自動販売機で缶コーヒーを買った。