奥さんと二人で傘を差して歩いた。
神宮前から表参道を経由して青山へ。


それにしても表参道は人が多いな、
こんな雨だというのに。


神宮前の交差点から表参道ヒルズにかけての歩道は
色とりどりの傘で埋め尽くされてしまって、
坂の上から見ると、ちょっとどこかの国のお祭りのようだ。


朝早かったからヒルズも開いてないな。
でも人は多い。


田口ランディのエッセイの中に
「渋谷は地下に水脈が流れているから人が集まるんだ」
という文章があった。


水の力が人を呼ぶらしい。


うん、きっとそうだ。
水のあるところに人は集まる。
その逆もあって、人に集まってもらいたい場所には
池や噴水を作るんだろうなあ。
公園や神社仏閣、ショッピングセンターの中に
滝が流れているところもある。


そして何故かそこに誰かが小銭を投げ入れる。
小銭が投げ込まれているのを見ると、次の人も
投げ込みたくなる。


きっと、みんな水の流れと時間の流れをどこかで
ダブらせて見ているのだろう。
水は高いところから低いところへ流れていく。
そこに投げ込まれたコインは流れを妨げることもなく
そして流れにに呑まれることなくその場所に留まって
キラキラと輝く。


みんなそうありたいと思うんだろう。
世の中の濁流に呑まれることなく、自分らしくありたいと。


僕の奥さんは正面から来たオバサンに危うくぶつかりそうになって
「みんな前を見ないで歩くんだから!」と怒っていた。


たまにはこんな雨も中の散歩もいいもんだ。