死について①


誰もが「死」について、一度は考えたことがあるだろう。


みなさんは死ぬことが怖いと思うだろうか。
僕は怖くてたまらない。
特に僕は無宗教であるが故に、死後の世界については
特別なものが存在するとは思っていない。
だから余計に死んだ後のことが「分からない」のだ。


ここに一冊の本がある。


寄藤文平著 「死にカタログ
(出版:大和書房1,500円)
寄藤文平といえば、基本的にイラストレーターだ。
宗教家でもなければ哲学者でもない。
一番知れている作品は、青年向け雑誌などでよく目にする
JTの広告「大人たばこ養成講座」であろう。


そんな寄藤文平氏の「死」についての著書をなぜ買う気に
なったのか、というお話はまた次の機会に譲るとして、
大井町駅の構内のブックファーストでこの本を買った、
そこまで話を端折る。
本を手に取って、まず「帯」のコピーにやられた。


「あなたにとっていちばん未来の話じゃないか。」


そう、死は誰にとっても人生で一番最後に起こるはずの
最大のイベントなのだ。


現在までに何十億、ひょっとすると何百億の人が
その「死」について様々なことを考えてきた。
そして(まだ生きている方は除いて)その全員が
自分の順番が来て、考えたことが正しいのかどうか
分からないまま「死」を迎えているのだ。


面白いのは、そんな人達が生きていたときに考えた
「死後の世界観」は連綿と伝わって、世界中に様々な
宗教文化が広がっているのに、死んだ後の情報は
全く伝わっていないという事だ。


僕は無宗教だが、宗教を否定する者ではない。
事実、キリスト教についてはそこそこの知識を持っている
と自負しているし、神田明神浅草寺には年に一度は
お参りに行く。
それ以外の時でも神社仏閣へは割と頻繁に足を運ぶ。


「宗教」とは死についての考え方を教える教育機関だと
僕は考えている。
世界中に様々な宗教があって、「祈りなさい」だの
「拝みなさい」だの「神のために戦え」とか、中には
常識では理解できないことを行う団体もある。
しかし、元々はどの宗教も、誰かが「死」について
深く考えたところからスタートしているような気がする。


その各国の「死」についての考え方が、先述の寄藤文平氏の
本にイラスト入りで書かれている訳だ。


例として、興味深いのを紹介しよう。


【古代北欧 バイキング】
  戦士が死ぬと「ヴァルハラ」と呼ばれる、天国の戦場へ
  行き、そこでさらに戦い続ける。
古代エジプト
  死者の国へ行く。
【インド その他各国】
  輪廻転生する。
【ジプシー】
  遺品などを全て処分し、存在しなかったことになる。
パプアニューギニア トロブリアンド諸島】
  死ぬと近所にある島へ行く。
  そして普通に生活。(いいね、これ。)
【フィリピン マノボー族】
  「イブー」という死後の世界へ行くことになっているが、
  そこは現世の世界の続き。
  何も変わらず、普通に生活する。(これもいいね。)


どうですか?


ちなみに日本で古くから信じられているのは、「8層の地獄」へ
落ちるってやつだ。
全体的に感じるのは、寒い地域(乾燥地域含む)は死後の世界
が厳しく、暑い地域は穏やかな死後の世界という傾向であろうか。
日本でも「北」と「南」によって違うのかも知れない。


さて、巻末に寄藤文平氏が考える「死のしまい方」という章が
載せてあります。
氏は「毎日少しずつ折りたたんでいく」という考え方を書いて
おられる訳ですが、これも一種の「宗教」と考えられなくも無いと
思います。


もっともご本人はそんなことは全く考えておられないと思いますが。


※この話については長くなりそうなので、後日続きを書くつもりで
①といたしました。
明日②を書くという訳ではありません。あしからず。