SINGING IN THE RAIN


どこからともなく僕の視線の中に真っ黒い物体が
飛び込んできた。


クロアゲハだ。


小雨混じりの新宿左門町のアスファルトの歩道のうえで、
ひらりひらりと力強くしなやかに、高く低く舞っている。


まるで、女性ピアニストが弾くコンテンポラリージャズの
譜面のよう。


まだ蒼い向日葵の花にちょっと止まって小休止を取ると、
次の曲へと移って行った。


その曲は、多分「雨に唄えば」。